独学を極める英語勉強法Vol.5

コツコツタイプにおすすめの「書き写すだけ」英語勉強法

出典「U-Site」さま

英語の表現力を上げたい! 
というのは、筆者を含めた英語を勉強する人の永遠の課題だと思います。
英語を読んだり聴いたりするだけでは、英語は使えるようになりません。
やっぱり自分で発信してみないと定着しない…とはよく言われていますよね。
でも、自分で発信してみたとしても、その英語が合っているかどうかわからないですよね。
直してくれる人もなかなかいませんから、下手をすると間違ったまま覚えてしまいます。
そこで今回は、筆者が実際に試している、ひたすら英語を「書き写す」勉強法を紹介します。
コツコツタイプの方なら、きっとハマるはずです。

ただ書き写すだけで何の意味があるの?

書き写し勉強法は、ただひたすら英語を書き写すだけの勉強法です。
一見すると、なんだかあまり意味がないように見えます。
ですが、これも大事な英語の基礎トレーニングの1つです。
「聞き流し勉強法」をご存知の方は多いと思いますが、「書き写し」もそれとよく似ています。
聞き流しでは、わからなくてもいいからとにかく英語を耳に入れることが大事でした。
書き写しも同じことで、とにかく手を動かして英語を書くことが大事です。
この時、最初は英語の内容が理解できる必要はありません。
とにかく手を動かすことが大切です。
書き写し勉強法で得られるメリットは、英語に慣れることです。
毎日英語のニュースを書き写したら、確実に英語のニュースの文体や単語のスペルに慣れることができます。
英語ニュースの文章そのものが、手を動かすことで体の中に蓄積されます。
ただ英語を読むだけでは、体で覚えることはできません。手を動かすことで、「体で」英語を習得できるのです。
慣れてきたら、何となく「これが名詞」「これが動詞」と頭に思い浮かべながらやってみると、英文の構造が一気に頭に入ります。
ご存知の通り、英語と日本語は単語の並べ方が大きく違います。
実際に書きながら意識することで、読むだけよりも深く頭に入ります。
この表現は面白い! と思ったら、そこを軽く音読しながら書き写すのもポイントです。
口と手を両方使うことで、一気に体が英語に慣れてきます。
負担はすこし大きくなりますが、面白い部分だけ訳しながら読むのもよいです。
昔仏教を学ぶ人は、「写経」でお経を理解しました。書き写し勉強法は、それをライトにしたイメージです。
I think that this flower is beautiful.
こんなかんたんな文でも、訳しながら書き写すと新鮮です。
「私、思う……接続詞のthatはパスして、この花、きれい」
こんな風に、普段は読み飛ばしてしまうような接続詞も、書き写すというステップがあるおかげで少し考えるようになります。
書き写し勉強法をするうえで大事なのは、「自分がこんな文章を書けるようになりたい」ということをイメージして、その文章を書き写すことです。
ビジネス文書が書きたければビジネス文書を、論文が書きたければ論文を書き写しましょう。
既にあるものを書き写すだけですから、むずかしい文章でも問題ありません。最初は意味が分からなくても大丈夫です。とにかく書き写すことで、少しずつ確実に英語になれることができます。
キッズニュースで試してみよう。

ニュースの書き写し

ニュースを英語教材として活用します。
最初に手を付けるならどんな題材でしょうか?
やりやすいのは、子供向けのニュースの書き移しです。
子供向けならあまりむずかしい単語は出てきませんから、書き写すことに集中できます。

News In Levels(https://www.newsinlevels.com/)
は、英語を勉強する人向けのwebニュースサイトです。
かんたんな英語で書かれたニュースを書き写すことで、英語力を安定して伸ばすことができます。
このサイトの強みは、レベル1-レベル3まで、1つのニュースでも単語のむずかしさを選べる点です。
例えば、「トランプ大統領がアメリカ宇宙軍結成を打診(https://www.newsinlevels.com/products/future-space-wars-level-3/)」という記事を見てみましょう。
レベル1(初心者向け)では

Donald Trump orders something new. He wants to build the United States Space Force. He thinks the government can say ‘yes’ to this.
(ドナルドトランプは新しいものを命じた。彼はアメリカ宇宙軍を作りたがっている。

彼は政府が「イエス」というと思っている。)
と言われています。では、レベル3(上級者向け)ではどうでしょうか?

Last week, Donald Trump signed a new order at the White House. He said to be thrilled about this move leading towards creating the United States Space Force.
(先週、ドナルドトランプはホワイトハウスで新たな命令を下した。

彼はアメリカ宇宙軍をつくることに向けた動きに対してつよい興味を示していると言われている。)
レベル3ではthrilled(スリルを感じる、強い興味を持つ)、towards(に向けた)など、むずかしめの単語が使われていることに気づいていただけると思います。
このように学習者向けに作られたサイトでは最初はかんたんな英文を見て意味をつかみ、その後むずかしいものを書き写すという作業が有効です。
むずかしい英文でもひるむ必要はありません。やるのは書き写しです。こどものころ、むずかしい漢字を意味も分からないまま書き写した経験を、誰もがもっていると思います。書き写し勉強法はその英語版です。全員がやったことのあることを、英語でもういちどやっているだけです。
わからなくてもOK 小説の書き写し

小説が読めるようになりたい、でも、独特の文体についていけない……。
そんな時にも、書き写しの勉強は役に立ちます。
小説は文学的な表現やむずかしい語彙が多く出てくるので、英語力が上級になっていても読みにくいものですよね。
でも、小説の文体を「体得」すれば、かなりスラスラ読めるようになります。
私が最近書き移しているのは、イギリスの作家Nevil Shuteの傑作小説『On The Beach』です。
1957年の小説ということで、文章もちょっと硬めで読みにくい小説です。
「これ読みにくいな」とおもったら、書き写し勉強法を試すチャンスです。

Lieutenant-Commander Peter Holmes of the Royal Australian Navy woke soon after dawn.
He lay drowsily for a while, lulled by the warm comfort of Mary sleeping beside him,
watching the first light of the Australian sun upon the cretonne curtains of their room.
(オーストラリア海兵隊のピーターホームズ中尉は、夜明けのすぐ後に目覚めた。

彼は横で寝ているメアリーの暖かな快適さにまどろんで、自分の部屋のクレトンさらさのカーテンの上のオーストラリアの日の出を見つめていた。)
(Shute, Nevil. On The Beach . Kindle 版.)

固有名詞のオンパレード+「drowsily」や「lulled」などの見慣れない単語の連続で、書き出しの文だけでも読みにくいですね。
この文章を、何も考えずに書き写してみましょう。
「Lieutenant」を書き写していると、「変なスペリングだな」と思わされます。
「lieu」はなんと読むのでしょうか?
辞書を見てみると、「lutenant(ルーテナント)」と読むことがわかります。
このように、書き写すことでスペリングのおもしろさに気づくことができます。
ただ読むだけだと読み飛ばしてしまうかもしれません。
その他、過去分詞の「lulled」、現在分詞の「watching」など、見慣れない形で使われている単語にも気づかされます。
これらは、「人やモノの状態を描写する」ための使い方です。
どんな参考書にも書いてありますが、読むだけでは読み飛ばしてしまうような内容です。
自分の手で書き写すからこそ気づくことができるのです。
裏技 テスト問題の書き写し

これは裏技です。
資格試験のリーディングで読むスピードを速くする人はどうしたらいいのでしょうか?
答えは、自分もその文章を書けるようになることです。
とは言っても、いきなりそんなことをするのは無理……。
こんなとき、書き写しは役に立ちます。
例えばTOEICテストの参考書を買って来ます。
ただ読む、問題を解くだけでは、文章を読むスピードは上がりません。
その問題を書き写すことによって、文章の構造が体に叩き込まれます。
こうすることで、文章を読むスピードが大幅にアップします。

The boss presented John with a bonus to show appreciation for his hard work on the project.
(上司は彼のプロジェクトでの尽力に感謝を示すためにボーナスを出した)

part5のこの文章をさらっと読めば、英語力が中級以上の方は意味を理解できると思います。
ですが、文の構造まで一発で見抜けるでしょうか?present A with Bで「AにBを与える」
、hard work on Aで「Aでの尽力」になります。時間の限られたリーディングテストの中では、この内容を一発で見抜けることは必須になります。でも、普通に読んでいると「意味は分かる」で安心してしまって、その中身までは定着しないのではないでしょうか。
書き写しをすると、「present John a bonusではダメなのかな?
このwithはどうしてついているんだろう」とどうしても考えさせられます。
「書き写す→考える→定着する」というステップを無理なく踏めることが、書き写し勉強法の強みです。
まとめ
書き写し勉強法は、ことばの構造を「体得」する最高の勉強法です。
しかも、ただ文を書き写すだけですから、誰でもすぐに始めることができます。
めんどうな準備は必要ありません。紙に書いてもいいですし、PCで書いても大丈夫です。
英語を体に覚え込ませる書き写し勉強法、ぜひお試しください。


東大生が伝える「成果が出る独学」3つの心得


Study Hacker」さま


なんだかうまく勉強のペースがつかめない……。
高校や大学までの勉強には教科書があり、授業があり、同じことを勉強している級友もいて、勉強をすること自体が非常に簡単なことでした。
しかし社会に出たら、何かを身につけるためには独学をしなければならないですよね。
学校での勉強に比べて、独学というのは非常に難しいものです。
筆者自身、学部での専門とは別の大学院を受験して、専門外の学問について一から独学で学ぶ、という経験をしました。
その中で何度も壁にぶつかりながら、改めて「独学の大変さ」を実感しました。
しかし同時に、いったい独学の何が大変なのか、どうすれば独学を成功させられるのかについて真剣に考え、最終的には無事合格を勝ち取ることができました。
その経験を踏まえながら、独学でも十分に結果を出すために必要なノウハウを紹介したいと思います。

英語独学はなぜ難しいのか

実際に長期間独学を行ってみて、うまくいかないことで悩むことは少なくありませんでした。
しかし、繰り返し、解決策を模索しているうちに、独学の難しさの原因は主に次の3つだと分かったのです。
・勉強の地図がない ・成長を実感しにくい ・ペースメーカーが存在しない
逆に言えば、この3つを解決することで、独学であったとしても非常に高い効率で学習を進めることが可能になります。筆者自身もこれらを解決することで、最初は五里霧中だった独学が一気に効率的になりました。ではこれをどのように改善していけば良いのか、その方法を紹介したいと思います。

【シニアトレーナー 60-day program】60日間でTOEIC®920点を獲得! 
シニアトレーナーによる「精密な課題発見」と「効率的な学習プランニング」に迫る。

最初はとにかく広く、浅く

独学の際に一番辛い問題は、指定された教科書がないということだと思います。
どの本が一番役立ちそうなのか、逆にどれは自分にとって必要ではないのか……、
それを見極めるというのは独学最大の難関です。
そこで最初にオススメするのは、手当たり次第に本を読む、ということです。
気になった本はとにかく、中身をざっと見てみましょう。
このような理由から、独学の最初にはとにかく多読、乱読を心がけて立ち止まらないようしましょう。

達成度を確認すること

独学を継続していると、なかなか身についている気がしない……
とモチベーションが下がってしまうときがありますよね。
人間のやる気に繋がるドーパミンは、心地良いことが起きた時に活性化される脳内のシステム「報酬系」とも密接に関わっているため、成果が見えにくい努力に対してはモチベーションが上がりづらいのです。
例えば高校の勉強であれば定期試験や模試などで成果を図ることができたり、大学の勉強でも成績に反映されることで達成感を得られたりしますが、独学の場合はそれがなかなか難しい。
毎日どれだけ学習したかを記録しておけば、それを確認することで「これだけの努力をしたのだ」ということを実感することが可能です。
筆者の場合は、役に立ちそうな本や論文をひたすら読むということを繰り返していましたから、積み上げた本の厚みや書き込みをしたページなどを見返しながら「これだけ努力したんだ」ということを確認するようにしていました。
このように、達成感を得るというのが独学継続のためには重要なのです。

締め切りは自分で作る!

学校の勉強であれば提出期限や試験日が確定していてそれを目安に努力しやすいですが、独学の場合はそうはいきません。
それに資格試験などは数ヶ月に1回や、年に1回の試験日程が多いですよね。
そのため、どの程度のペースで準備をすれば良いのがかわからず、毎日が忙しいほど「落ち着いたら……」と先送りにしてしまいがち。結局ペースが上がらずになかなか学習が進まないということも。
それを防ぐためにも、自分で自分にこまめな「締め切り」を作ることが大切です。
独学で大学院を受験するとき、相当の不安とともに途方に暮れかけたことを、今でもよく覚えています。
それでも試行錯誤しながらやりきってみて、独学で何かを学び取るという経験から、学ぶことの本質を垣間見たように思います。
自分自身と向き合うという意味でも、それはとても有意義な経験でした。
自分をしっかりマネジメントしながら、新しいスキルを身につけられると良いですね。




HOME へ