英語のプロが教えます。


英語のプロECCが教えます!

出典「ECCさま」

英会話の勉強を毎日することで力の向上になると言われていますが、具体的に何をすればいいのかわからない、という初心者は多いのではないでしょうか。
また毎日取り組んだものの、あまり達成感を得ることができず、何度も挫折しているという悩みを持つ人もいるかもしれません。
今回は、多くの初心者に出会い、レッスンや学習アドバイスを担当してきた英語のプロ、ECC総合教育研究所の河野好彦、吉田桃子が初心者のための簡単な勉強法を伝授。
英会話の勉強を始めようという人はぜひ参考にしてください。



(1)初心者が毎日、簡単に学習を続けるためにすべきこと
まず、生活時間を見直そう

英会話の勉強を毎日続けるためには、時間の確保が必要です。
1日20分でいいので時間を作ってください。
時間の確保というと、「仕事や家のこと、学校の勉強などやることが山積みで学習時間を作るのが難しい」「やろうと思っていたけど、毎日時間をやりくりすることができなくて、結局挫折してしまった」という声があがるかもしれません。
まずは朝夕の通勤電車の中、夜自宅に戻ってから寝るまでの時間、など、日々の過ごし方を振り返ってください。
1日のスケジュール、ライフスタイルを見直して、生活サイクルの中に学習時間を組み込むようにしましょう。

(2)隙間時間を活用した勉強で効率的に
1日20分のまとまった時間を捻出するのが難しい場合は、10分の勉強時間を2回、5分の勉強時間を4回と小刻みに分割してみるのはいかがでしょうか。
小刻みに分割する場合、1回で取り組むことはひとつにしてください。
例えば、1回目の10分はリスニング、2回目の10分は単語やフレーズの暗記などというように、ひとつに絞るのです。
10分でリスニングも単語の暗記も、とあれこれ手を出すと、その度に集中力が途切れてしまいます。
短い時間だからこそ、集中して中身の濃い勉強をするように心がけましょう。
忙しくても、通勤・通学時など、日常の生活の中に隙間時間はあるはず。
隙間時間を有効に活用するために、注意をそらされがちなスマホアプリの通知設定を見直すことも検討してみてください。

(3)すぐに勉強に取り組めるようにしよう
勉強を毎日続けるには、気軽に取り組めることも重要なポイントです。
定型フレーズを網羅した書籍や音声教材、辞書などを持ち歩いていなくても、思い立った時にすぐ勉強に取り掛かることができるように環境づくりから始めてはいかがでしょうか。
定型フレーズを集めた音声アプリ、発音に特化したアプリなどがあるので、自分に合ったものを見つけて、スマホやタブレットに入れておけば、ちょっと空いた時間をリスニングなどに活用できます。
道を歩いている時に、目に入るものを英語で言ってみるのも上達につながります。
机に向かわなくても教材がなくても、英会話の勉強は、心がけ次第で毎日簡単に続けることができます。
そして、休日にはできれば隙間時間ではなく、20分、30分と「カタマリ時間」を作って集中的に取り組むことも忘れないでください。

(4)自分がわかるレベルの学習を繰り返そう

「どのレベルから始めたらいいかわからない」というのも初心者が持つ悩みのひとつです。
そんな時は、自分が7〜9割程度理解できるリスニング教材、リーディング教材から始めることをオススメします。
聞いて、読んで、だいたいの内容がわかれば、学習意欲を維持できるはず。
理解できない部分があっても、「7割わかればいい」という気持ちで取り組んでください。
頑張りすぎないことが続ける秘訣です。

取り組んでいる教材の内容がやさしいと感じたら、自分の学習スタイルがリーディング重視になっていないか確認をしましょう。
読んで簡単そうに思っても、聞き取りできない部分があったり、紹介されているフレーズがパッと口から出てこなかったりする場合もあります。
「わからない内容に取り組むことで向上するのでは?」という質問が出ることがありますが、初心者にはオススメできない勉強法です。
英文を理解するために、知らない単語の意味を辞書で調べることを繰り返すだけに終わってしまう場合があります。
「勉強した」という達成感は得られますが、英語上達につながるとは限らず、自己満足に終わりがちです。
また、難しいレベルへの取り組みは楽しく続けることができず、挫折してしまう可能性もあります。
語学力を上げるには繰り返しの練習が効果的。
自分がわかるレベル、やさしいと感じるレベルの教材で何度も学習して、確実に定着させましょう。



(5)毎日、簡単に続けられるオススメ勉強法
シャドーイングで音声に触れる

日本では受験英語の影響でリーディング中心の勉強をしてきて、スピーキングやリスニングに苦手意識を持っている人が多くなっています。
英語上達を目標にするなら、毎日英語の音に触れて、慣れることが大切です。

オススメは、CD/MP3といった音声教材などを利用するシャドーイングです。
シャドーイングは、テキストなどの英文を見ずに、音声が流れてから聞こえてきた英語をまねて発音することで、リスニング力やスピーキング力の向上が期待できる学習方法です。
まず英語の音を聞き取って、何の単語なのかを認識してください。
そして聞き取れたら、次に意味を理解する段階に移ります。
シャドーイングは正しい発音、アクセント、イントネーションを習得できるだけでなく、英語独特の音のリズムを知ることができるというメリットがあります。
また日本語とは異なる英語の語順に慣れることは、英語の文を組み立てる際の土台作りにもなります。
シャドーイングをしようと音声教材を聞いて発音することを試みても、最初からスムーズにできる人は多くありません。
音声に少し遅れて、その音をまねるため、元の音声と自分が発音する声が重なってしまい混乱するかもしれません。
シャドーイングがうまくできない、と感じたら、まずはリピーティングに挑戦しましょう。
英語の音声を聞いたら、いったん音を止めて繰り返して口に出す練習です。
それがスムーズにできるようになってからシャドーイングに取り組みましょう。
周囲に人がいて発音ができない場合は、音声を聞きながら指で「なぞり書き」や心の中で発音するだけでも英会話力向上に役立ちます。

(6)コツコツとした継続学習こそ、上達の近道です。

ディクテーションを取り入れよう
英語を聞き取り、まねて発音するのがシャドーイングだとしたら、聞き取った語を一語一句そのまま書き起こすのがディクテーション(書き取り)です。
ディクテーションの効果はいくつもありますが、一つ目に挙げられるのが、読める英語と耳で聞く英語のギャップに気づけること。
例えば、知っている単語なのに間違った発音で覚えていたために聞き取ることができなかった、というようなミスに気づくことができるのです。
二つ目の効果として、音がくっついて別の単語に聞こえるといった英語特有の音の変化がわかるようになることです。
また、なぜ聞き取れなかったかを見直すことで、単語や熟語がわからない、発音を間違って覚えていた、文法的に理解していなかった、など自分の音声認識の弱点を発見できます。
はっきりと聞き取れなかった部分は内容から想像したり、文法知識で補ったりすることを意識して繰り返してください。
意識的に聞き取りを繰り返すことで無意識に聞き取りができるようになり、知らない間に英会話を支える総合力がアップするという大きな効果が期待できます。

(7)英語で脳内実況する
英会話の勉強は、その気になれば、いつでもどこでもできるものです。
街中を歩いている時に目についたこと、気になったこと、移動中の電車から見える風景、周囲の人の会話など身の回りの状況を英語で脳内実況してみましょう。
物事の発生順に英語で説明していくのです。
声に出すことはできませんが、頭の中ではアウトプットしているのと同じような処理が行われているので、英会話の練習になります。
もし、うまく英語で表現できなかったことがあれば、あとで調べて、ノートやスマホのメモ機能に書き留めて英語表現のストックを増やしましょう。

(8)英語日記を書く
スピーキングに挑む前に、まずは英語で文章を組み立てる練習が必要です。
オススメは短文(3文程度)の英語日記を書くこと。
最初は中1レベルの英単語が中心でもかまいません。ノートをわざわざ買わなくても手帳やスマホのメモ機能に書き留めることができますから、電車の中や寝る前の5分程度からスタートしてみてください。
毎日続けることが肝心です。

英語日記を書く際は、1文ずつ別の話題を書くのではなく、ひとつの話題を3つの文で展開するようにしましょう。
「おいしかった」「楽しかった」「面白かった」というような感想を羅列するだけにならないように注意してください。
その日見た映画の簡単な内容や感じたこと、外出先で遭遇した出来事、家族のこと、好きな食べものについてなど、題材はなんでもかまいません。
あるテーマに関して、自分の意見とその理由を述べるのです。
毎日書き続けると、どんな話題でも英語で組み立てていけるようになります。

慣れないうちは「出来事」「説明」「感想」や「事実」「意見」「理由」など、情報の骨組みとそれぞれの文の役割を明確にすることを、意識して書くといいでしょう。
そしてできるだけ覚えた単語や英文フレーズを、必ずひとつは入れるようにします。
毎日、英語でアウトプットすることで、英語でコミュニケーションの機会ができた時に、相手に伝わりやすい表現ができるようになります。

(9)海外ドラマや映画を視聴する
楽しく取り組むためには、海外ドラマや映画などの動画を視聴してみてはいかがでしょうか。
ネイティブスピーカーならではのリアルな表現を耳にすることができます。
オススメの勉強方法は、同じ動画を3回視聴すること。
いきなりすべてを聞き取ることは難しいので、1回目は、英語音声&日本語字幕でストーリーを追うことに集中します。
2回目の視聴は、英語音声&英語字幕でリスニング。
最新の言い回しや短縮された英語表現、イントネーションで表された細かいニュアンス、主語のないセリフなどもあるので、表現方法のバリエーションを知ることができます。
そして、3回目は英語音声だけで視聴してください。
好きなセリフや言い回しが出てきたら、画面に向かってシャドーイングするのもいいでしょう。
気になった単語や言い回しがあったら、ノートに書くこともオススメです。
そのシーンを思い出しながらお気に入りフレーズを練習したり、英語日記に使うことで英会話力の上達にもなります。
動画配信サービスの中には、様々な機能が充実しているものがあります。
英語と日本語の字幕の同時表示やセリフごとの巻き戻しや繰り返し、再生速度の調整などが可能なものもあり、辞書機能が付いているものもあるので英会話の学習に取り組みやすいです。

(10)日本のニュースを英語で視聴する
初心者が、いきなり本場のニュース番組であるCNNやBBCを視聴するのはハードルが高すぎます。
放送されるニュースの背景や状況がわからないまま外国のニュースを見ても、理解できないまま終わる可能性があります。
そこで、英語・日本語の二ヶ国語で放送されている日本の報道番組を英語音声に切り替えて視聴することをオススメします。
日本の報道番組や新聞などで取り上げている事柄を放送しているので、英語ではどう表現するのかを知ることができます。
キャスターが読む英語は、早口なだけでなくメリハリがあるので、英語のリズムを体得するのにも役立ちます。
「この単語はここまでアクセントを強く読むんだ」という発見も多く、上達への糸口になるはずです。
英語音声を聞きながら、英語字幕を読めば、速読練習にもなります。
情報収集と英語学習が同時にでき、話のネタも蓄積できます。




(11)毎日、簡単でもNGな勉強法
〜だけ学習はNG

せっかくのリスニングなのに聞いているだけで口を動かさない。
フレーズを読むだけ、書くだけ。
これらの勉強法では、自分が使える英会話フレーズはなかなか増えません。
実際の場面で行われる会話は、リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4つの技能を必要に応じて連動させて成立するものです。
使える英語を身につけることを目的にするのであれば、「〜だけ」の偏った学習をやめて、総合的な学習を心がけてください。
例えば、単語やフレーズを書き写す際には、手だけを動かすのではなく、声に出しながら書き留めましょう。
書いて覚えながら、同時に発音練習も取り入れるのです。
また、資格試験対策においても、スコアアップや合格だけを目的にすると、リスニング問題を解くだけ、正解率を上げるだけの勉強になってしまいます。
出題された英語表現を自分が英語で話す際に使えるようにしよう、という意識で取り組んでください。

(12)英語のシャワーは初心者にはNG
毎日、英語の音に触れることは上達の必要条件です。
しかし、聞くだけで力が上がる、英語が話せるようになる、などのいわゆる「英語のシャワー」は、初心者にはオススメできない勉強法です。
聞き流すだけでOKとする勉強法は、基礎的な知識がない初心者の学習には向いていないのです。
英単語や英会話の定型フレーズを知っている人なら、何を話しているのかわかりますが、初心者が聞いてもただの音のカタマリにしか聞こえない可能性があります。
聞き流していると、英語の音に触れていることになるので、勉強した気にはなりますが、リスニング力の向上にはつながらないのです。
初心者がすべきことは、短文をたくさん聞いて暗記して、英語の音声と語順を頭に刻むことです。
音、スペリング、意味、使われる場面などの知識を少しずつ増やして、自分の中にデータベースを築くことです。
また、レベルの高い英語を聞いて難しく感じ、やっぱり英語を話すようになるのは無理そうだと思ってしまう場合もあります。
「英語のシャワー」での勉強は、初心者レベルを脱してから活用するようにしてください。



(13)初心者に合った勉強法で、毎日の習慣に
初心者が英会話の勉強を毎日継続させるのは、難しいと思われがちです。
何から始めたらいいのか、どのように取り組めばいいのかわからず、初心者にふさわしくない勉強法に取り組んでしまい、成果を感じられなかったり、途中で諦めてしまったりする人も大勢いるのではないでしょうか。
今回紹介した勉強法は、初心者が無理なく少しの時間を使って続けられるものです。
ぜひ毎日の習慣にして鍛えましょう。


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